Hupfeld Königin Victoriaberg
英国ヴィクトリア女王が愛飲したホッホハイム銘園
銘醸ワインの産地ラインガウ地域(3,125ha)は、ライン川に面したタウヌス丘陵の西端ロルヒハウゼン(Lorchhausen)より40km南のホッホハイム(Hochheim)にわたっています。その南端ホッホハイムでは、ライン川の支流のマイン川(Main)に面した丘陵の南向き斜面一面でリースリングが栽培され、優れたワインが造られています。ホッホハイムのワインは古くより、船に積まれてライン川を下り、英国に大量に輸出されていました。特にヴィクトリア女王の王室ではホッホハイムのワインが好まれ、現在も英国ではドイツワインを総称して『ホック』と呼び、辞書にもドイツワインのことは『hock』と掲載されています。
19世紀後半のこと、ヴィクトリア女王が訪独の際、ホッホハイムの農園主パプストマン〈Pabstmann〉はヴィクトリア女王に、女王の愛飲するホッホハイムに来訪を懇願しました。そしてそのブドウ園に『ヴィクトリア女王』(Königin Victoria)の名称の付与を請願しました。
やがて、英国王室より名称が許可されると、パプストマンは農園の中央に英国ゴシックの立派な塔を建築し、記念の碑文を刻みました。このブドウ園を所有するケーニギン・ヴィクトリアベルク醸造所(Weingut Königin Victoria Berg)のワインのエチケットには、中央にブドウの葉に囲まれた華麗な記念碑が描かれています。現在は、一族のリヒャルト・フップフェルド(Richard Hupfeld)が継承し、マイン川に面した砂状ローム土壌の斜面にある7haのケーニギン・ヴィクトリアベルクのブドウ園では、生き生きした酸味を含む、頑健で芳醇なバランスの良い伝統的なリースリングワインが造られています。