Langwerth von Simmern
ラインガウの名門、ラングヴェルト・フォン・ジンメルン男爵家醸造所物語
ヘッセン州の州都ヴィースバーデン(Wiesbaden)よりライン川に沿って『リースリング街道』と呼ばれる街道があります。この街道は、銘園の連なる斜面のすそと、銘醸ワインの醸造所の存在する街々を縫って走っています。街道の中央に位置するエルトヴィレ(Eltville)には国営醸造所本部があり、エルバッハ(Erbach)とハッテンハイム(Hattenheim)には銘園を所有する貴族の城館が点在しています。そのエルトヴィレの中にルネッサンス建築様式の城館のジンメルン(Simmern)男爵家醸造所があります。木組建築の城館と、中庭にあるつるべ井戸や搾汁器など200年以上の歴史を経た彫刻された木樽などが保存されています。
ジンメルン男爵家醸造所の歴史は古く、1464年以来代々引き継がれてきました。所有するブドウ園は、マルコブルン(Marcobrunn)『境界の泉』、ラウエンターラー バイケン(Rauenthaler Baiken)、エルトヴィラー ゾンネンベルク(Eltviller Sonnenberg)『太陽の山』、ハッテンハイマー マンベルク(Hattenheimer Mannberg)『男山』、ハッテンハイマー ヌスブルンネン(Hattenheimer Nussbrunnen)『くるみの泉』など、ラインガウワインを代表する最高級の銘園揃いです。いずれのブドウ園も、ラインガウの中心にある真南に面した斜面で、ここでは、陽光と全面に広がるライン川のまぶしい反射光をいっぱい受けたリースリングが育ちます。このすぐれたジンメルン男爵が所有するブドウ園からは、重厚な力強い味わいと、エレガントな風味を合わせ持つ、長寿命のラインガウの典型的な性格のワインが造られています。ジンメルン男爵家醸造所の所有する銘園の中でも特にマルコブルンは、かつてエルバッハ村とハッテンハイム村が所在を競った銘園です。
争った末に泉(Burunnen)の所在からエルバッハ村に所属が決まりましたが、「でも畑はハッテンハイムに在る」とその後も主張し続けている銘園なのです。そのワインを飲めば、優雅なワインの味香に、両村の人々のこのブドウ園にこだわる気持ちが頷けます。
ジンメルン男爵家のエチケットは中央に男爵の紋章が描かれ、その100年以上変わらぬ特徴のあるデザインは、ドイツワインを代表するワインのひとつとして、世界的にもよく知られています。