Hospitien Trier
銘醸ワインで慈善事業をおこなうトリアー慈善協会
トリアー慈善協会は、紀元640年ベネディクト派聖イルミナ尼僧院として創立されました。僧院はフランコニア王の宮殿で、地下には古代ローマの貯蔵庫として使用されていた地下倉があり、現代ドイツで最古のワインセラーとなっています。
1805年修道院は、ナポレオンの勅令により還俗され、貧者のための病院、孤児院、養老院が修道院の塀に囲まれた敷地の中に統合されました。そして、その運営資金の確保のため、モーゼル川各地に散在する修道院や協会のブドウ畑を慈善協会の傘下に加えました。その後、王族、貴族所有ブドウ畑も寄進され、建物の一部は今もなおイルミナ女子修道院として使用され、病院と老齢者や孤児のお世話と看護の福祉事業がおこなわれています。
現在、慈善協会が所有するブドウ園は、すべてモーゼル地域を代表する銘園揃いで、醸造されたワインはローマ時代の地下倉に木樽で寝かされ、世界に輸出されています。また、慈善協会のシンボルは広く知られた聖ヤコブの巡礼の姿で、貝殻の杖を持つ姿が描かれています。この図柄は中世のころ、スペインのサンチャゴに眠る使途ヤコブの墓に詣でる巡礼者のため、宿舎にもなっていたことによります。
かつて、慈善協会の所長フーベルト・シュナーベル博士が来日の際、セミナー会場で冒頭に「いつもドイツの貧しい人たちに施しをいただきましてありがとうございます。」と挨拶されたことが、1本のワインにも深い意義があることを表しています。